2005年10月10日
宝の山だよ烏山線《その18》=宇都宮駅=

烏山線でのキハとの旅はここで終了だ。どんよりと曇った日だったけれど、その分暑くなく、心地よい疲労感を感じていた。
宇都宮に着いたのは午後3時。名物の餃子でもたべようかなと、改札を出る。
しかし、それなりの疲れはあって、さほど食欲もわかない。
餃子はこの次にしようと考え直し、お茶を飲む。
北関東の中心都市の宇都宮は、新幹線も停まるだけあって、さすがに駅舎も近代的だ。
国際的な観光地の日光と、人々の生活する空間の方が多くて観光地にはなりきれない烏山。
対照的ではあるけれど、それぞれにいい味出してるなと思う。
非電化の烏山線の沿線には、「JR烏山線を利用して電化を実現しよう」と書かれた看板が掲げられている。
しかし、私はのどかな田園風景の中を、ディーゼルの煙を吐きながら発車して行くあの姿が、なんだかとてもいとおしく思えた。
いつまでもこのままでいて欲しい、そう思うけれど、それは旅行者の勝手な言い分に過ぎない。

2005年10月10日
宝の山だよ烏山線《その17》=キハ、宇都宮駅到着=
2005年10月10日
宝の山だよ烏山線《その16》=お花の町?下野花岡駅=
2005年10月10日
2005年10月10日
宝の山だよ烏山線《その14》=天龍山、かな?=
2005年10月08日
宝の山だよ烏山線《その13》=キハ、鉄橋をゆく=
2005年10月08日
宝の山だよ烏山線《その12》=仁井田駅=
2005年10月08日
2005年10月04日
宝の山だよ烏山線《その10》=タブレット交換=

上りの列車が入線してきたとき、懐かしい光景を見た。
駅員さんが下りホームから上りホームに回り、運転手さんから何かを受け取った。
それを持って踏切を渡り、これから下り列車が入ってくる下りホームに向かってくる。
私は思わず声をかける。「それ、写させてください」と。
駅員さんは少し照れたように、でも慣れた手つきで、撮影しやすいように腕を伸ばした。
単線の列車がすれ違うとき、確かにすれ違ったことを確認する、通行手形の役目を果たす、タブレットだ。
幼い頃に故郷、大雄山線で何度となく目にした光景。
手垢で黒光りする皮製のわっかは、そっくりあの頃のままだ。
でも、駅員さんは言う。「本当はカタチだけなのだ」と。
実際には自動で制御しているので、タブレットの交換はカタチだけなのだそうだ。
ひっくりかえして見せてくれた反対側には、かつてははまっていたであろう手形の形にぽっかりと穴が開いていた。
そう説明する駅員さんの笑顔も心なしか寂しげだ。
