2005年10月23日
古きよき温泉街、伊東線を行く《その13》=締めくくりはみかん電車で=

首都圏から湘南電車に乗って、熱海駅に着いたのが11時頃。それから伊東線で一気に終点の伊東まで行き、一駅ずつ順番に戻って、熱海駅に帰り着いたのは、夕方の4時半頃。
伊東 → 宇佐美 → 網代 → 伊豆多賀 → 来宮 → 熱海
6駅、17キロを、5時間半かけてゆっくりと歩いてきた。
路線は単線で、1時間に1、2本のローカル線だが、どことなく気品が漂うのは、国内有数の一流温泉街の歴史があるからだろうか。
駅舎はどこもみな木造の小さな建物だが、柱の1本1本、手すりや壁、そして床までも、丁寧に磨き上げられた感があり、職員の方々や地域の方々が愛着を持って接しておられる姿を思い浮かべることができる。
そういえば、その数を減らしている湘南電車のみかん色も、ここならまだまだ健在なのではないかと思って楽しみにしていたのだが、単線ローカルを走るJRの車輌は、踊り子号などの特急列車ばかりだ。
それじゃぁ普通列車はどうなってるの?というと、それはみんな伊豆急行の車輌で、JRの車輌はひとつもない。
最初の熱海駅で乗った「Izukyu」のロゴ入り車輌は、たまたま伊豆急行が伊東線に乗り入れていたのではなく、伊東線は特急列車以外は伊豆急行がJRの代わりを果たしているのだなと気付く。
首都圏からの特急はJRが賄い、地域のローカル線は私鉄が担う。そうやってうまく助け合ってバランスを取っているのかな、と妙に感心してしまった。
鉄道の日記念切符第1回目は、東京から121.5キロ。往復運賃4420円。
10月なのに夏のような日差しの中、薄っすらと汗をかきながら、思いがけなく趣のある駅舎を巡って、十分にもとを取った気分だ。
念願のみかん電車は、熱海駅から西に向かうJR東海の東海道線としての姿は何度か見られたけれど、実際の乗ることは叶わず、それだけがちょっと寂しい。
