2005年09月23日
日光初秋の旅《その10》=旅立ちの朝=

とっぷりと日が暮れて、「森のうた」に帰る。
部屋に戻り、しばらく休んだ後、お風呂に入る。
ゆっくりぶらぶらとはいえ、一日歩いた疲れは相当なもので、お風呂に入って体を伸ばすたびに疲れは少しずつ抜けて行く。
お風呂からあがり、部屋でぼっとしているうちに、いつの間にか深い眠りに落ちてしまった。
ふと目覚めると、もうすでにラウンジのドリンクタイムも終わった深夜の12時過ぎ。
それから眠ろうとしても目はさえるばかりなので、時刻表を取り出し、明日の作戦会議を開く。
時刻表をあちこちめくりながら、この列車に乗るためにはこの時間、と案を練って行く。
やがて大方の行程も決まり、さりとて眠くもないので、カバンの中から文庫本を取り出して読み始める。
持って行ったのは、2度目の「ノルウェーの森」。
初版の頃に一度読んでいるけれど、頭の中にあまり残っていない。
主人公よりもいくつもお姉さんになって、主人公の歳に近かったあの頃よりも登場人物の気持ちを理解することができるようになっているのが、なんだか不思議。
朝方まで本を読み、少しだけ眠ったあと、7時過ぎにはチェックアウトの準備を整える。
素泊まりプランなので食事はない私に、「今コーヒー落としたから飲んでいったら?」とオーナーが言う。
まだ朝食の時間には少し早いからか、オーナーとしばしの会話を楽しむ。

「これから私は烏山へ行こうと思う」、そういうと、オーナーは「烏山で何かあるの?」と不思議そうに尋ねる。
「烏山線に乗りたいんです。電車の旅が大好きで、昨日も東武日光線に乗れば安いのも知ってるけれど、わざわざJR日光線に乗るために、宇都宮に出たんですよ」と話すと、オーナーは納得した様子。
そして、それでは、と「わたらせ渓谷鉄道に乗ってみて」と奨めてくれた。
そんなわけで、「烏山線」に乗って烏山をめざす。
外に出ると、男体山を黒い雲が覆い、いまにも泣き出しそうな空があった。

2005年09月23日
日光初秋の旅《その9》=カフェ ザ・シーズン=

橋の上で心行くまでマイナスイオンを浴びたあと、そろそろ日も暮れるし、と、細い道を戻って大通りに出る。
ホテルやペンションが点在する大通りを、何かあるかな? と日光駅の方にしばらく下ってみる。
やがて、「カフェ」の看板が見えてきた。
少し疲れたし、コーヒーでも飲もうかな、と看板の脇を入る。
そこには緑に囲まれた北欧風の建物があり、扉を開けると、オーナーが出迎えてくれた。

しっとりと落ち着いたアンティークなたたずまいと、控えめで暖かいオレンジ色のライトアップで、なんとなく心が安らぐ。
暖かいカフェ・オレと、ホットサンドイッチを注文し、今日撮ったデジカメの写真などを覗き込んだりしながらゆっくりとひと時を過ごす。
気さくなオーナーとしばしの会話を楽しんだあと、日も暮れ始めたので、腰を上げた。

2005年09月22日
日光初秋の旅《その8》=オーナーお奨めの散歩道=
2005年09月22日
日光初秋の旅《その7》=小さなホテル 森のうた=
2005年09月21日
日光初秋の旅《その6》=気品高き日光駅=

この駅舎見たさに、遠回りしてJR日光線に乗った。
ちょうど、門司港駅を一回り小さくしたような感じの、ネオ・ルネサンス様式。
1912(大正元)年に建てられた歴史ある建物で、JR東日本管内では現存する駅舎の中で最も古いものだそうだ。
近くにある田母沢御用邸を訪れる皇族や、外国からの要人も多く、来訪の際に休息をされた貴賓室も保存されている。
駅舎の様子も、そこで働く駅員さんたちの様子も、どこかおっとりした感がある。
目と鼻の先に東武日光駅があり、駅前の賑わいはすっかりそちらに取られてしまったのか、ひっそりとしている。
気品高き日光駅にも、栄枯盛衰の歴史がある。
左端:2階、貴賓室への階段
2番目:貴賓室(現在はイベントコーナーなどに使われている)
3番目:貴賓室からの階段から改札を見る
右端:待合室


2005年09月21日
2005年09月21日
日光初秋の旅《その4》=下野大沢駅にて=
2005年09月21日
日光初秋の旅《その3》=車窓の風景=
2005年09月20日
日光初秋の旅《その2》=宇都宮駅にて(107系)=
2005年09月20日
日光初秋の旅《その1》=上野駅から=

遅れて取った夏休み、日光に行こうと思う。
東武日光線で行けば、安いし、早いと思う。でも、どうしてもJR日光線に乗りたかった。
上野から東北本線(宇都宮線)に乗って、宇都宮に出て、そこからJR日光線に乗り換える。
上野から出る宇都宮線は、地上ホームと地下ホームと、両方から出発する。地上ホームの方が断然本数が多いけれど、私の足は自然と地下ホームに向いた。
地下からは何本かの東北本線(宇都宮線)と高崎線の各駅停車、それに常磐線などの特急列車が発着する。
幼い頃、両親に連れられて北関東の祖父母の家を訪ねるとき、必ずくぐった地下ホームの改札。
北からやってくる列車たちの、そこは終点であり、新たな人生への出発点だ。
明るい地上ホームとは対照的に、車止めで止められた薄暗い地下ホームは、どこかゆっくりとした空気が流れている。

※上野駅の下のホーム(13〜17番ホーム)は、地下ホームではなく、『地平ホーム』といういうそうです。
薄暗いのは屋根の覆われているからで、確かに線路はまっすぐ屋外に出て行きます。
(2006年6月18日・訂正)