正式タイトルは、「シエラレオネ 5歳まで生きられない子どもたち」
アフリカ大陸の西側。北海道ほどの面積のこの国では、今も内紛が続いている。
原因は、南東部で採れる「ダイアモンド」。
それを目的で隣の国から攻めてきた大統領は、国際批判をかわすために、国内での内戦に仕立て上げた。
ページをつづるのは、「国境なき医師団」の山本敏晴氏。
あどけない子どもたちの写真、その中に時たま現れる、無残な姿。
反乱軍は、小さな少年、少女を誘拐し、麻薬を打って戦力にした。
発達段階の大事な時期を、そうやって抹殺してしまったため、子どもたちには心が育たない。
人を殺すことを、なんとも思わなくなってしまう。
あるいは、一般市民を、殺すのではなく、生きながらえさせつつ、手足を切断する。
そうすることで、人々は介護を余儀なくさせられ、その結果、国力を弱めていく。
ときどき、新聞などで耳にするこの国の名前。
こんなに悲惨な状況とは、思いもしなかった。
もちろん、そこで戦いがある以上、悲惨でないはずはないのだが。
どこの国でも、子どもたちの笑顔はかわいい。
そして、苦痛にゆがめられたその表情には張り裂けんばかりに心が痛む。
なぜ、みんなで仲良くできないんだ、と子どもようなことを思ってしまう。
一日も早く、この国の子どもたちに笑顔が戻る日が来るように、そして、この国の子どもたちがきちんと大人になれるように、と、心の底から祈り続ける。
私たち、とりあえず平和を享受している者たちが、できることってなんだろう。
【山本敏晴/著 アートン/刊】