10月も半ば、空はさわやかな秋晴れだが、冬の足音も確実に近づいているように思う。
久しぶりに我が家のマンションの前庭の芝生に、野良にゃごが現れた。
ベランダに出て、ふと下を覗くと、マンホールのふたの上でのんびりと寝そべる野良にゃごちゃん。
きれいな茶トラねこちゃんは、寝そべったお尻の近辺を飛び回る小さな蝶が気になる様子。
しばらく目で蝶を追いかける姿をそっと眺めた後、ベランダから「にゃ~おん」と声をかけてみる。
すると野良にゃごが「なんだ?」というように、ベランダの方を振り返る。
上を見上げる大きな目とばっちり合ったが、にゃごは別にあわてるでもなく、そこに居続ける。
確か、去年の春だったか、マンションの後ろの棟の前庭で子猫が生まれ、それを追い掛け回す住民に胸を痛め、
エントリーを立てた。
今年もまた、あの悲劇が繰り返される、そう思いつつ迎えたこの春。
しかし、ねこたちはいつのまにかそこから姿を消して、夏の間はまったく姿を見せなかった。
なんか、イヤな感じ。そう思い、心配していたけれど、あのときの親猫がどこからともなくまた帰ってきた。
今日うちの棟の前庭で日向ぼっこをしていたにゃごは、去年生まれた子猫のような気もするし、そうではないような気もする。
しばらく姿を見せなかった後ろの棟の親猫は、今年は違うところで子猫を生んだのか、それとも今年は生まなかったのか。
猫の社会のことはわからないけれど、元気な姿で戻ってきてくれたことに、胸を撫で下ろす思いだ。
それと同時に、また去年同様の切ない思いもついてくるのだけれど。
(2006年10月15日・自宅マンション前庭にて撮影)