日光初秋の旅《その10》=旅立ちの朝=

じゅの

2005年09月23日 11:19



とっぷりと日が暮れて、「森のうた」に帰る。
部屋に戻り、しばらく休んだ後、お風呂に入る。
ゆっくりぶらぶらとはいえ、一日歩いた疲れは相当なもので、お風呂に入って体を伸ばすたびに疲れは少しずつ抜けて行く。

お風呂からあがり、部屋でぼっとしているうちに、いつの間にか深い眠りに落ちてしまった。
ふと目覚めると、もうすでにラウンジのドリンクタイムも終わった深夜の12時過ぎ。
それから眠ろうとしても目はさえるばかりなので、時刻表を取り出し、明日の作戦会議を開く。
時刻表をあちこちめくりながら、この列車に乗るためにはこの時間、と案を練って行く。

やがて大方の行程も決まり、さりとて眠くもないので、カバンの中から文庫本を取り出して読み始める。
持って行ったのは、2度目の「ノルウェーの森」。
初版の頃に一度読んでいるけれど、頭の中にあまり残っていない。
主人公よりもいくつもお姉さんになって、主人公の歳に近かったあの頃よりも登場人物の気持ちを理解することができるようになっているのが、なんだか不思議。

朝方まで本を読み、少しだけ眠ったあと、7時過ぎにはチェックアウトの準備を整える。

素泊まりプランなので食事はない私に、「今コーヒー落としたから飲んでいったら?」とオーナーが言う。
まだ朝食の時間には少し早いからか、オーナーとしばしの会話を楽しむ。



「これから私は烏山へ行こうと思う」、そういうと、オーナーは「烏山で何かあるの?」と不思議そうに尋ねる。
「烏山線に乗りたいんです。電車の旅が大好きで、昨日も東武日光線に乗れば安いのも知ってるけれど、わざわざJR日光線に乗るために、宇都宮に出たんですよ」と話すと、オーナーは納得した様子。
そして、それでは、と「わたらせ渓谷鉄道に乗ってみて」と奨めてくれた。

そんなわけで、「烏山線」に乗って烏山をめざす。
外に出ると、男体山を黒い雲が覆い、いまにも泣き出しそうな空があった。


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