九州地方の駅舎を訪ねる《鹿児島本線編》=鳥栖(とす)駅=

じゅの

2007年09月08日 23:24



佐賀県鳥栖市に位置する鳥栖駅は、鳥栖市の代表駅で、1889(明治22)年に開業している。
鹿児島本線と長崎本線の分岐駅にあたるこの駅では、かつて、はやぶさ号が廃止されてしまったさくら号と併結されていた頃、その切り離し作業が行われたのだ。

駅の近くには、鳥栖操車場や鳥栖機関区などもあり、鉄道の街として栄えていた。
今はなき機関区の跡地は、鳥栖スタジアムとなり、サッカーファンを楽しませている。

駅舎は1911(明治44)年に改築された二代目だそうだが、その時代の面影をよく残している。



駅舎正面からファサードを見上げてみる。
三角屋根の中央には時計台があり、その下には美しい意匠がある。
壁のペンキは若干剥げ落ち、屋根の境の金属の部分は錆がでているが、美しさは留めている。
屋根の上のJR九州のコーポレートカラーの赤で書かれた駅名板は、ファサードの明治っぽさとは逆に、近代的な雰囲気を持つ。



しばし駅舎の周りを歩いたあと、ホームに戻る。
ホームは島式3面6線を持つ立派なもので、特急列車も頻繁に発着している。
左側の側線に留置されているのは長崎本線、久大本線などを走るキハ125系の気動車で、右側の中線に停車しているのは、九州地方では代表的な813系の電車だ。
そして、その間にあるホームの上屋は、剥げかけた白い縦羽目板張りと特徴のあるラインが美しい。



ホームに掲げられた駅名標は、九州地方ではよく見られる形で、中央のイラストは駅の特徴を現している。ここ、鳥栖駅のトレードマークには鳥栖スタジアムが描かれている。

東京から16時間半の列車旅にひとまず終止符を打ち、改札を抜けて外の空気を吸う。
初めて踏んだ九州の大地で私を迎えてくれたのは、九州の厳しい暑さと蝉の鳴き声。
関東地方のジージーと暑苦しい蝉の鳴き声と違って、九州の蝉はしゃわしゃわと鳴く。
蝉のしゃわしゃわにさわやかさを感じ、すばらしい旅への序奏を感じたのだった。

(2007年8月6日・鳥栖駅にて撮影)

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